project
houses
松ヶ枝国際フェリーターミナルプロポーザル・・・最優秀案
outline
設計に当たっての基本方針
1.1 海の桟敷席:客船を向かえる観覧デッキ
・敷地は長崎の海と山を望む絶好のロケーションにある。この立地を最大限に生かすために、ターミナルの屋上を海に向かって傾斜をもつ桟敷席のようなデッキとする。海の桟敷席は、そこから客船や海を、さらには水辺の森公園や南山手の丘の景色を眺めるプラットフォームであるが、ペーロン大会や花火大会などのイベント時には絶好の観覧席にもなる。
・巨大なスケールを生かした翼のような形状の建物は、海外から長崎を訪れる旅客の上からの視線に対して、シンプルな形態ながらも、独特の存在感をもつ。
1.2 デッキの下に広がる自由な多目的空間
・デッキ全体は、傾斜した一つの平面となって宙に浮いている。そのため、下のターミナルには閉鎖的な外壁がほとんどなく、空間は隣接する公園や港のエプロンと一体となる。
・ターミナルは、季節や時間に応じて様々な使い方を可能にする多目的な施設となる。CIQ施設を除けば、ロビーの大部分は使い方が固定されない広場のような自由な空間である。
1.3 デッキを支えるスリバチ
・巨大なデッキは、いくつかのすり鉢状の構造体によって支えられる。これらのすり鉢は、構造体となるだけではなく、デッキ上下を結ぶ縦動線として、また中庭、テラス、サービス諸室、空調室外機等の設備スペースなどとして利用される。またその断面に生じる開口を通して、室内から客船へ、また公園から客船へと視線が抜ける窓となる。
1.4 一時利用施設としての建築計画
・国際航路を中心とした客船ターミナルでは、旅客はCIQ施設を一時的に通過するだけであり、待合いロビーにほとんど滞留することはない。さらに現状では客船ターミナルとしての利用は最大でも週1-2回程度である。一方長崎には、年間を通じて多くの観光イベントやお祭りがあり、こうした場合には施設全体を有効に活用できる。
・そこで多目的ロビー部分は半屋内的な取り扱いとして、建築自体は最低限の空間を確保するのみとし、日常的には公園の一部として利用する。展示、販売、インフォメーションといった様々なしつらえは、屋台のような仮設的仕組みで柔軟に対応できるようにし、空調についても主にスポット空調で部分的使用に対応可能とする。全ての空間を一般的な室内空間としてことこまかに計画するのではなく、利用頻度に応じた可変的計画を行うことによって、初期費用および維持管理費用をリーゾナブルに抑えることができる。